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「パパ、ママ、あいしてる――エレナが残したメッセージ」


著者 : ブルック & キース・デザリック / 翻訳 : 青山 陽子
出版社 : 早川書房 / 定価 : 1,500円(消費税71円込み)

すごい話。
脳腫瘍をわずらい、わずか6歳でこの世をさったエレナ。
この本は両親がつづった闘病記だ。
期待外れといえば、本の帯に書かれている、エレナが死を予感したのか家のあちこちに手紙を残していたというエピソードがほとんど描かれていないということ。
しかし、読めばわかることだが、エレナと両親が模索しながらも「生きる」ことに力を合わせたことに感動がある。
娘をもつ父親としては、「ぐっ」と来てしまうエピソードがあり、日々を真剣に生きることを意識させられる。

本を読むかぎり、葛藤しながら、弱音を吐きながらたたかった両親だが、エレナの死後、「The Cure Starts Now」(「治療はすぐはじめなければ」)という、同じように小児ガンをたたかう人たちを援助する団体を立ち上げた。
本文中にあるのだが、薬の開発をはじめとする新しい治療方法開発の優先順位は、それが原因で亡くなる人数、直面している患者数等に制約を受けざるをえない。
需要の多さ=利潤の大きさに左右される資本主義のルールというか限界だろう。
しかし、これほどまでに悲しみ、苦しみ、たたかっている人、とくに子どもたちにより多くの治療の選択肢があるべきではないのか…というのがこの本の告発的なメッセージになっている。

その通り。
命の重さが平等であるなら、本来、それを救う努力も平等であるはず。
世の中がそれにふさわしい対応をすることは、病とたたかう患者本人にも、まわりで支える人たちにとっても「Cure」(癒し)になるはずだ。
ましてや、すでに存在する小児病院を閉鎖するなどとんでもない!! → 小児病院廃止を推進した東京都議会議員のみなさん。

実に大事な本。
当初、「小さい子をもった人たちは読んじゃダメ」と tweet したが撤回。
ぜひ読んでほしい。

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「イメージで選べる配色見本ハンドブック」


著者 : GWG
出版社 : インプレスコミュニケーションズ / 定価 : 1,600円(消費税80円別)

ウチのような小規模開発の場合、プログラマーもGUIデザインに関わらざるをえない。
一時期デザインの仕事をしていたといえ、「現役」を離れるとがぜん、感性というか時代感がにぶくなる。
とくに色。
分割・レイアウト等の感覚はある程度「いい・悪い」の判断ができるが、色は流行りすたりがつよい要素だ…と思う。
仕方ないので、第一線の人の知恵を借りる。
類書、「キーカラーで選べる配色見本ハンドブック」

ももっていたのだが、2004年、6年前の本でやはりなんとなく古臭い香りがするようになってきた。
というわけで買いなおしたのが本書。

でも、ページあたりの色数は「キーカラーで…」の方が多く便利。
うーむ、残念。

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「自転車少年記」

自転車少年記
著者 : 竹内真
出版社 : 新潮社 / 定価 : 1,995円(消費税95円ふくむ)

地味ぃな表紙で、「少年」記って割には、ボリュームもあってどうなんでしょ?
と、ぶっちゃけ本棚の肥やしになっていたわけだけど、なんとなくピンときて読みはじめた。

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「UMLモデリングレッスン――21の基本パターンでわかる要求モデルの作り方」

UMLモデリングレッスン 21の基本パターンでわかる要求モデルの作り方
著者 : 平澤章
出版社 : 日経BP社 / 定価 : 2,520円(消費税120円ふくむ)

良書!!

この間、何冊かの UML 本を読んできたが、UML の記法だけで終わっているもの、複雑な設計にまともに挑みかかって消化不良で終わるもののどちらかという感じだった。
この本で、いくつかのパターンをみて、ホント UML 設計の本質にふれたような感じがした。

ぜったいつかえる。
21のパターンごとに付せんを貼り、「目次でパターンを確認」、「付せんでたどり着く」というのができるように「チューニング」をくわえた。

ちょうど、オブジェクト指向を学びはじめて、 などのオブジェクト指向言語の言語仕様を解説したものをいくら読んでもさっぱりピンと来なかったのが、デザイン・パターンを学んで「なるほど!!」となったのに似ている。

  • いくらリフティングがうまくても一流のサッカー選手にはなれない。
  • ねじやピストンリング、コンロッドをいくら眺めまわしても、エンジンの構造は理解できない。

ただ、クラス図以外は、ステートマシン図がちょっとでてくるぐらいなので、「これで本当にいけるのか!?」の感も。
続巻に期待。

p.s. O/Rインピーダンスについて、この本ではじめて理解できた orz

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「超入門 Javaってなんだろう」


著者 : 井上 樹
出版社 : 翔泳社 / 定価 : 1,995円(消費税95円ふくむ)

タイトル通り、「Javaってなんだろう」という本です。
Java のコードを詳細に追っかけて、こういうコードを書くとこういうことができます…というのではなく、ざっくりと「Javaっていうのはこういう言語よ」、「Webアプリケーションなんかにも応用できるんだよ」と紹介する本。

「超入門」と銘打つにしてはやや高度で、ぶっちゃけ対象とする読者像が見えない。
あえていえば、Javaのいわゆる入門書でちまちまとした文法を身につけたものの「で、結局Javaって何ができるの?」と、疑心暗鬼になった人が、自分のいまいる地点を確認するための広域地図という感じかな。

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「ワークブック形式で学ぶUMLオブジェクトモデリング」 & 「正しく学ぶソフトウェア設計」


著者 : ダグ・ローゼンバーグ, ケンドール・スコット
訳者 : 今野 睦, 長瀬 嘉秀, テクノロジックアート
出版社 : ソフトバンククリエイティブ / 定価 : 2,625円(消費税125円ふくむ)

この間、UML の勉強をすすめてきたのだが、「いくらやっても実際の仕事でどうつかうのかわからない」というジレンマに陥っていた。

最初の「ワークブック形式で学ぶ UML オブジェクトモデリング」は、要求分析から、実際にコードを書くプログラムの間を埋めている本としては、いままで見たことがないほどにていねいだ。
これまでにもできあがった UML 図から出発してコードを起こす、という本は何冊か読んだ気がするのだが、この本ではとくに要求分析で UML にどう記載していくかという部分がていねいでうれしい。
ただ、ちょっと表現がまだるっこしいのと、完成したシステム(サンプル・コード)が載っていないので達成感が不十分なのとが気になるところ。
実感として、「こんな感じでいいのかなぁ」という不安があった。


編集 : 日経ソフトウエア
出版社 : 日経BP社 / 定価 : 1,995(消費税95円ふくむ)

そして次に読みはじめたのが、「正しく学ぶソフトウエア設計」。
この本は「日経ソフトウエア」誌からの記事の寄せ集め。
ちゃんと照らし合わせたわけではないが、過去に紹介した「日経ソフトウエア プレミアム総集編 プログラミングまるごとパック」あたりと、だぶっていそうで、なんとなく損した感もないではない。

しかし、この寄せ集めはツボ。
短い記事がたくさん出ているというのが功を奏して、上記の不安に対して、こんなプロジェクトでも、あんなプロジェクトでも同じように UML をつかった分析をやっている、という感じで納得納得。
この2冊の連携、おすすめです。

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「世界の中心で、愛をさけぶ」

世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫
出版社 : 小学館
著者 : 片山 恭一 / 定価 : 520円(消費税24円ふくむ)

いい大人がこっぱずかしいのだけれど、なかなかよかったので。
ちょうどブームのほとぼりが冷めたころに読んだのだけれど、やはりブームのときに騒がれていた「純愛」のエピソードはこの小説のごく一部分にすぎない。

若いころの、相手の一挙手一投足にストレートに心臓の鼓動が反応したり、血がわきたったり逆流したりの恋心。
そんなにまで愛した人を失ってしまったときの深く苦しい喪失感。
それは、この小説のように死別でなくても…自分としては死別はまだ経験していないが…感情移入できるのではないだろうか。
深い愛と深い喪失感を1つのベクトル上でとらえる試みが新鮮であり、また同時にむなしくもある。
説明できない煩悶を合理化するためのさまざまな自問自答が息苦しく美しい。
登場するおじいさんとの対話を通じて、読者は、生き、愛し、死ぬことをめぐる哲学に引き込まれる。

映像はいらない。

登場人物たちといっしょに人生の大切なことを真剣に考えるところにこの小説の価値がある。
最後に待っている美しい風景に救いとあたたかさを感じられるのがいい。

ちょうどほぼ飛行機の1フライトの間に読んでしまったのだが、冒頭のみずみずしい恋愛を描いているあたりは青空の中を飛び、アキの発病から死までのあたりを夕焼けから黒い空の中、ラストのある種のすがすがしさをかみしめながら東京のキラキラした夜景の中にランディングしていく…じつにぴったりとシンクロしていて感動ひとしおでした。

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「Java のドリル」

Javaのドリル
著者 : 瀬戸 遥
出版社 : ソシム / 定価 : 2,100円(消費税100円ふくむ)

これもまた、バリバリとミニプログラムをつくる、基礎トレのイメージで選択した。
しかし意外にも、プログラムの穴埋め問題や、用語理解の○×選択など、「ドリル」の意味合いの濃いものだった――まあ、間違っちゃいないんだが。
それにしては、オブジェクト指向の解説が、全8章立てのうちの第4章「クラスの作成と活用、インターフェイス」の部分に押し込められていて、消化不良な印象がある。
また、Swing をつかった Windows アプリケーションにページを割いているが、いまの Java の実践的な利用状況を考えるとちょっと古臭いような。
Java の概念的な入門書を読んだ後の「2冊目」におすすめという感じだろうか。

結論的にはやや物足りない。
自分としては、それがある一定の水準をクリアーしたことを意味しているのだと積極的に評価したいと思うが。
続編の「活用編」も買っちゃったんだけどなぁ…。

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「忘れ雪」


著者 : 新堂冬樹
出版社 : 角川書店 / 定価 : 1,680円(消費税80円ふくむ)

この本のどこに価値があるかというと、その70%は表紙イラスト。
前半、この犬をめぐるストーリー展開には残り29%の価値あり。
後半、「あれ? 純愛小説のコピーで読みはじめたんだけど…」の違和感をひきずったまま、どうでもいいテレビのサスペンス劇場みたいな陳腐なエンディング。
あーあ。

文庫版もでてるようです。
でも、古本だったら文庫版より安そうなこのハードカバー版のほうがおすすめ。
表紙イラストが大きいもん。

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「デザインパターンワークブック」

オブジェクトテクノロジーワークブック VOL.3デザインパターンワークブック
著者 : 岡村 敏弘
出版社 : 翔泳社 / 定価 : 2,394円(消費税114円ふくむ)

デザインパターン3点セット、Part3。
タイム・ラグができてしまったが、デザインパターンを学ぶのに並行してつかっているテキストのラストがこれ。
以前に紹介してきた「オブジェクト指向ワークブック」「UMLワークブック」のシリーズ第3弾でもある。
慣れというのもあるけれど、「あー、あの本のだいたいこのあたりにでていたな」という、視覚的な印象がつよく残ってくれるのがありがたい。

…デザインパターンの紹介になってないな。
ちょうど、「Java開発者のためのアンチデザインパターン」と、GoF本のあいだぐらいの抽象度なので、「Java開発者のための…」のサンプルコードでパターンの実例と雰囲気をつかみ、この「デザインパターンワークブック」で抽象化するとともにUMLで視覚的な記憶を起こし、念のため(というかハッタリか?)で、GoF本を確認する、という感じで使っている。

いずれの3冊とも1冊をとりだすと、「自分のレベルにぴったり」とはいいがたいが、3冊のコンビネーションはなかなか当たりです。