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「ドラッグストア・ガール」

ドラッグストア・ガール デラックス版 [DVD]

「田中麗奈さん主演!」「おじさんたちがラクロスに挑戦!!」「『社交ダンス、ピンポン、シンクロ…次のブームはラクロス』なんてキーワードが踊る!!!」
周防正行監督の「Shall we ダンス?」や「シコふんじゃった」など、この間ヒットした邦画作品につうじる「新しいスポーツに挑戦」路線、おじさんたちを前面に出した「釣りバカ日誌」シリーズも手がけた本木克英監督、とくれば期待と安心感も高まるというもの。

ワキをかためる面々も、柄本明さん、三宅裕司さん、伊武雅刀さん、六平直政さん、徳井優さん…とこの間の日本映画コメディー路線をささえてきたベテランばかり。
さらに新進気鋭の宮藤官九郎さん脚本、コメディー初挑戦ながら田中麗奈さん主演となれば、おもしろくないはずはない!!

↓つづきは、ネタばれ注意。これから見に行く予定の人は見ないこと

…と思って楽しみに見にいったのだが、こりゃ失敗。

何がダメって、一言でいって、最後まで一貫してまじめにラクロスをやろうというつもりがないところ。
「Shall we ダンス?」も、「ピンポン」(宮藤官九郎脚本です)も、「ウォーターボーイズ」も、もっといえば「釣りバカ日誌」も、「バカバカしいと思ってたけど、真剣にとりくんでる姿を見たら、メチャメチャおもしろそうじゃん!!」ってところがミソなのに…。
この映画を見終わっても「ラクロスっておもしろそうだからやってみたいなあ」とちっとも思えなかった。

上記の公式ホームページのなかから引用すると…

「(ラクロスの)プレーシーンは少ししかなく、取る/走る/投げるのワンプレーが出来ればOKのはずだった。」「…延べ10時間に及ぶコーチからの指導を受けた…」(プロダクション・ノート)

「ワンプレー出来ればOKかよっ!!」、「10時間ってまる2日ぐらいじゃんっ!!」とツッコミを連発したくなるようなトホホぶりです。
それでも、「アメリカ・ニュージャージー州・ニューアークに実在するラクロス・チームを招聘した」(プロダクション・ノートより)っていうんだから、その肝っ玉ぶりには驚き!!

やれやれ。
おじさんたちがラクロスをはじめてすぐ、あまりに上達しないので田中麗奈さん演じる女子学生にコーチを頼もうか、という意見が出る。
そのとき、伊武雅刀さん演じるおじさんが、「形になるまでは、練習していることは、彼女には秘密だっ!!」とつよく迫り、「そうだそうだ」とおさまる。
おじさんたちにとって、(ぼくも片足をつっこんでいるので気持ちがわかるが、)もっともイヤなのは、中途半端なままでさらしものになること。
やるからには、カッコいいところを見せたいし、そういう姿を見てこそ「元気になる」。
いくら、田中麗奈さんと仲良くなりたいといっても、それだけで終わっちゃあ共感しきれない。

「ことの始まりは僕が田中麗奈さんのファンだったということがありまして、この映画は麗奈さんが可愛くうつっていればOKと思ってました。」(宮藤官九郎さん。上記公式ホームページより)
って、映画の内容までそのままじゃあまずいんでないの?

たしかに、個々のギャグは笑えるし、田中麗奈さんも(期待通りに)かわいいんだけど、それって CM ごと、1回の放送ごとに感情がリセットされるテレビドラマ的な手法。
金払って見に行く以上、笑ってときめいて、そして全体としてもりあがっていく感動もほしい、ちょびっとは。
しかも、その感動に主演女優である田中麗奈さんがからんでるべきだと思うんだけどなぁ。

残念だなあ…すごく残念。
こんなにおもしろそうな要素いっぱいなのに、全体としてはおもしろくないなんて。
ぼくはくやしい! こんなにくやしいのは「シザーハンズ」以来だ!(…って共感してもらえないかもしれないけど)。

p.s. CM でもつかわれてて、エンディングでも流れる「♪Video Killed The Radio Star…」ってバグルスの「ラジオ・スターの悲劇」。
歌詞の内容は“ラジオがテレビに駆逐されていく”っていうある種メディア批判なんだけど、これを単にノリがいいからって感じでつかってるのもどうかと思う。
むしろ、この映画を見終わってエンディングで流れてるのを聞くと、テレビドラマ手法に殺される「映画スターの悲劇」って思えてくるのは、深読みすぎ?

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