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DRAMA

「TRICK」

トリック(1) [DVD]

テレビドラマ「TRICK(トリック)」 の3シリーズ目がスタートした。
仲間由紀恵さん演じる手品師と、阿部寛さん演じるあやしげな大学教授のコンビがインチキ宗教・占いの秘密をあばく痛快なストーリー。
しかし、テレビってヤツは…。


このドラマ、心霊・オカルトをテーマにしながら、登場するキャラクターやグッズのネーミングなどにあふれるブラック・ジョークというか「悪ふざけ」感がなんともいえない。
しかし、考えてみれば、”バチ”や”因縁”、”運命”で人をおどして、金をまきあげる行為のほうこそ、まさに「ふざけるな」なところがおかしい。

テレビ番組の「心霊もの」では、スタジオの観客があたり前のように「幽霊」、「超能力」に黄色い声を上げる演出がされる。
しかし、「幽霊」「怨念」なんて話がでたら、普通は「はぁ? うさんくさいんじゃない?」と思う方が普通なんじゃないだろうか。
少なくともいまの時代。

そこでついでに一冊の本を。

安斎育郎「霊はあるか–科学の視点から」
霊はあるか―科学の視点から
講談社ブルーバックス / 税別 880円

そもそも「霊」っていつから問題になったか、そのルーツは…って考えたことがあるだろうか ?
古典的な幽霊のイメージってのは、古寺の裏あたりにある荒れた墓地から「うらめしや~」ってぐらいだから、仏教が背景にあるのではないか――というのがばく然としたイメージだった。

だけど、この「霊はあるか」で、数ある日本の仏教のお寺・宗門にアンケートを依頼し、「お宅では霊はあると考えているか」「その霊はたたるのか」といった質問をぶつけ、集計しているところが見どころだ。

なんと驚いたことに、「人は死んだら仏になるから、幽霊にならない」という理論な回答や、「霊はあるが、人にたたったりはしない」など、”まじめ”な仏教の教義には、テレビで話題になるような「霊のたたり」など存在しないというのだ。むしろ、いまこの現実世界に生きている人がいかに幸福に暮らせるかの知恵とでもいうべき考え方にあふれているのが新鮮だった。

そう考えると、おそらくは仏教については日の浅かったであろうラフカディオ・ハーンの「怪談」の影響が多分にあるのではないか ?
ましてやそれがインチキ宗教、すなわち商業的・資本主義的宗教となったのは、メディアの発達以降、おそらく長くてここ100年ぐらいの話だろうというのがぼくの持論だ。

――こう書くと、「先人や自分のルーツとなった祖先を大事にしないとは不謹慎だ!」と怒られるかもしれない。

ぼくの先祖は、戦国時代の権力争いに敗れて兵庫の日本海側の田舎に逃げ込み、その子孫たちはいまでいう医者をし、地域のリーダーであったという。
いまでも、当時そのままに畑の裏山に残る 13 の墓石や灯ろうが残っているのだから、さぞかし地域の農民に愛されていたのだろう。
裏山を吹きぬけるすがすがしい線香の香りのまじった風に心洗われれば、そういうご先祖に共感し、「権力争いに翻ろうされることのない世の中を」「額に汗して働く人びとの気持ちを忘れてはいけない」と神聖な気持ちで誓いを新たにしないわけにはいかない。

むしろ、死んだ人に勝手に「こいつは化けて出るほどうらみをもっていた」「のろってでも人を殺したいと思っている」なんてきめつける方が、よっぽど不謹慎じゃあないか――という共通した思いで「TRICK」を見ている。
今後の展開も楽しみだ。

「木曜ドラマ TRICK」公式ホームページ
「トリック2」、「トリック劇場版」のビデオについても、「goods(グッズ)」のコーナーで紹介されています。

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