上原ひろみ「Another Mind」

アナザー・マインド
発売元 : ユニバーサル
品番 : UCCT-1077 / 定価 : 2,548円(消費税121円ふくむ)

上原ひろみ Official Web Site

CD はだいぶ前に買ったんだけど、先日、NHKの「夢・音楽館」に出演しているのを見て再燃。

彼女の名前を知らない人のために。
キリンの低アルコール飲料のコマーシャルで、強烈に細かい音符のピアノを弾いていた若きジャズ・ピアニスト。
ヤマハの CM にも出演している。
コロコロと細かい音符を紡ぎだすという点でよく似ている、巨匠オスカー・ピーターソンや、チック・コリアと共演するなど、すでにジャズ界の大御所に太鼓判をおされた実力派だ。
昨年、2003年度には、このアルバム「Another Mind」で、「日本ゴールディスク大賞」、「ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞しているとのこと。

日本のアーチストがアメリカで話題…というときには、2つのパターンがあると思う。
日本の文化の香りというものめずらしさがインパクトとなってうけとめられるパターンと、ホントにその道の王道できちんと評価されるパターン。

音楽の話題からはそれるけど、日本のシンクロナイズド・スイミングの代表が妙に日本文化をまぜこんだ楽曲やテーマを選択するのは、前者のパターンのような気がする。
ぶっちゃけいいのか悪いのかわかんない。
芸術的には評価不能の状態におちいらせて、「技術点は確かにいいとこいってるから、芸術点もバランスとってこれぐらい」みたいな採点をさせてるにちがいない。
日曜日お昼のNHK「のど自慢」で、みんな民謡・演歌やあたりさわりのないヒット曲とか歌ってるのに、一人青筋たててブルーハーツとかシャウトしちゃって、鐘が「カーン…」みたいな。
日本の文化を否定するつもりはまったくないんだけど、その世界の土俵で正面からガチンコ体あたり…という方がぼくは好き。
たとえば、フィギュアスケートの村主章枝さんとかが、かなりのウエイトを割いてクラシック・バレエをやってるってのとか。
安易に歌舞伎の型だのナンだの取り入れるのは、結局、その世界が長きに渡ってつちかってきたものを薄めるだけでリスペクトとは別もんだと思う。
三味線の吉田兄弟なんかが、ロックっぽいフレーズなんかを入れるのは、彼らの三味線のバックボーンがしっかりしてるっぽくて OK なわけ。
あくまで三味線の世界にひきこんで消化してる感じがするから。

…と、話がそれちゃったけど、上原ひろみさんの場合は、ほんとにジャズの王道のところで勝負して、評価されてるところがすごいなぁ、と思う。
大リーグにおけるイチローみたいな、といって過言でないと思う。

残念なのはあれだけの速弾きは CD で音だけ聞いてると、新鮮味が薄れちゃうこと。
シーケンサーなんかの高速ビートに耳が慣れてるから、耳ざわりは「ふーん」って感じになっちゃう。
でも、↑とか、テレビで演奏してる姿をみると、その指の速さにも、じつに情熱的な、ヘッドバンキングやら、いかにも「体重乗せてますっ」て感じのフォルテシモもいい。

「ぜったいライブがおもしろそう」と思ってたら、ライブ、やるんですね。
渋谷のチケットもう売り切れ。
くー、また東京に来てね。
DVD 発売も楽しみにしておきます。


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