「アーティスト」

アーティスト (2011)

【監督】ミシェル・アザナヴィシウス
【出演】ジャン・デュジャルダン / ベレニス・ベジョ / ジョン・グッドマン / ジェームズ・クロムウェル / ペネロープ・アン・ミラー / ミッシー・パイル


★★★☆ [70点]「映画を見る幸せってなんだろう」

つい先日「スターウオーズ エピソード1」の3D版を見たら、頭痛→眠気の「3D酔い」に。
映画の技術発展において行かれたような敗北感を味わい、負け惜しみながら浮かんだのが「映画の発展方向はどこか?」「映画を見る幸せってなんだろう?」という疑問だった。

この作品には「映画を見る幸せ」があふれていた。
ストーリーのよさ、無声映画というハンデのなかで際立っていた俳優の演技、字幕をあえて技術として生かす工夫…等々。
そして忘れてはいけないのは、観客の共通体験という喜びだ。
比較的劇場内が静かだったこともあって、まわりの観客のクスクス笑いや、犬の愛らしいしぐさへのため息が聞こえてくる。
劇中にも、たくさんの観客が映画館につめかけ、いっしょに笑い、涙し、興奮する姿が描かれる。

自分の体験でも、「クール・ランニング」の初完走シーンで劇場内に拍手が起こったこと、「ファインディング・ニモ」のラストカットで小さな子どもが「食った!?」と声を上げ、その声のかわいらしさに笑いが起こったことなどのエピソードは忘れられない。

そう。
いくら自宅で映画を見るための機械や映像流通のしくみが発展しても、いっしょに笑い、涙する観客をもとめて、劇場に足を運ぶ人は少なくないんじゃないだろうか。

この映画と「ヒューゴの不思議な発明」とで、ことし2012年、第84回アカデミー賞の部門賞をとりあったのは象徴的だと思う。
3Dと大スクリーンという大がかりなしかけがきっかけでもいい。
今作のようにじっくり楽しめる作品でもいい。
いかに劇場にたくさんの観客を集めるか――当たり前かもしれないけど、そのためのさまざまな工夫に映画の発展方向があるんじゃないだろうか。
その工夫のなかには、料金や劇場までのアクセス、劇場や作品のバリアフリーなどの要素も含まれることを蛇足ながらつけくわえておきたい。

将来においては、これぞという作品をもとめて気軽に観客が集まって料金を回収できるようなしくみもぜひ実現してほしいとも思う。
これも蛇足だけど。

Posted by Dai on 2012/04/24 with ぴあ映画生活