「マイ・ボス マイ・ヒーロー」

マイ・ボス マイ・ヒーロー [DVD]
発売元 : ジェネオン エンタテインメント
品番 : OPSD-S377

日本テレビ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」公式ホームページ

ドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」がよかったので、そのオリジナルということで見た。
ヤクザが組の跡目相続のために高校にいって勉強しなおす、という基本設定は同じ。
こちら韓国映画版の方は、より描き方が重い。
心をよせる同級生をまつわるエピソードはずっと暗く、ヤクザ同士の暴力シーンもちょい演出過剰。
学校の不正をめぐって対立する組のヤクザがのりだす、熱血親父肌の担任教師もその不正とたたかって暴力沙汰に巻き込まれる…など、さらにややこしいエピソードも。
でも、ラストの学校前の抗争シーンで、雨とスローモーションを印象的につかって、同級生から主人公にたいして心を痛める心情を表現するあたりは、日本ドラマ版の方にも継承された。

しかし、全体としては、日本ドラマ版のアレンジの仕方、力点の置き方を再評価することになった。

何より、授業や勉強の大切さにしっかり立脚したこと。
「ツルゲーネフ」のエピソードでの、文学を学ぶ意味は感覚を言葉にして表現する力、歴史上のだれかに共感する力をつけることにある、と伝えるあたりは並みのドラマでは考えられない。
そのことが結果的に、競争に勝つための勉強にたいして、知る楽しさ・喜びを得るために学ぶことを対峙する結果になっているのも興味深い。
(このあたり、競争を激化させて「教育を再生」させるなんていってる安倍さんの教育改革に対するアイロニーだよね)

それから、クラスを軸にした学校で学ぶことの意味、体育祭や文化祭などの学校の行事で力を合わせるワクワク感などなど、ちょっと異色のシナリオが多かった。

…そんなの学園ドラマなら普通じゃん――と思うかもしれないけど、そうでもない。
学園ドラマの多くは、学校はただ主人公たちの集合場所というだけで、クラスという集団全体が問題になることは少なくたまたまクラスにいる一定のグループしか視野に入っていないといったものが多い。
あえていうなら、あくまで(単なる場所としての)「学園」ドラマであって、(教育内容をふくんだ)「学校」ドラマではないというのがミソ。
この点で画期的だったのが「金八先生」シリーズだが、一方で「金八先生」シリーズのなかで、勉強の意味に迫るエピソードの割合は案外低いと思う。

まあ、たしかに韓国映画版の方は、1時間半~2時間という映画というメディアの限界もあったと思う。
舎弟役の濃いキャラぶりとか、担任の先生のいい人ぶりとか、ドラマ版を上回ると思われる部分もなくはないので、日本ドラマ版をおもしろいと思った人には一応おすすめ。

マイ★ボス マイ★ヒーロー DVD-BOX