MOVIE

You are currently browsing the archive for the MOVIE category.

先日、「ドリームガールズ」について書いた後、オフィシャル・ホームページをながめていた。
ぼくは

ビヨンセが演じた主役・ディーナのモデルはダイアナ・ロスらしいとかのゴシップとか、そんなことどうでもいい気がする。
…具体的な「誰か」なら、そこにはかならず終わりがある。
…抽象的な人物で描くからこそ、そこに夢をたくすことができる、「楽しい」映画になってるんだと思う。

と書いたのだが、製作会社・配給会社の方はそう思ってないらしい。
オフィシャル・ホームページの「作品情報」→「プロダクションノート」あたりを読んでいると、実在の人物やレコード会社を描いたんですよーというのを売りにしたいらしい。

で、最近の映画の傾向で感じていたことにピーンと来たわけですよ。
つまり「実話ブーム」。

ここ最近、実話、もしくは実話にもとづくという点を押し出してる映画がけっこうあって、しかもそれなりにヒットしている。
2006年度興収10億円以上」の作品のなかだけでも、「男たちの大和/YAMATO」、「子ぎつねヘレン」、「フラガール」、「バルトの楽園」、「ワールド・トレード・センター」、「父親たちの星条旗」などの実話をもとにしたもの、また一応史実をふまえているというふれこみの「ダ・ヴィンチ・コード」、実在する病気をもとにした「タイヨウのうた」など、準ずるような作品もある。
現在公開中の作品にいたっては、「幸せのちから」、「マリー・アントワネット」、「硫黄島からの手紙」、「あなたを忘れない」などそうした作品が大集合してしまった状況だ。

つづき »

「ドリームガールズ」


(オリジナル・サウンドトラック)
発売元 : ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
品番 : SICP-1178 / 定価 : 2,520円(消費税120円ふくむ)

「ドリームガールズ」オフィシャルサイト

試写会に誘われていってきました。
いやー、最近見た2本の映画と対極。
とにかく楽くて最高!!
オリジナルがブロードウエーミュージカルって知らなかったから、こんだけ楽しい楽曲がガンガンくるとは思わなかった。
はっきりいって、椅子に腰掛けて見て(聴いて)るのはストレス。
映画館じゃなくて、もともと椅子なしのデカいライヴハウスなんかで上映やったら、けっこううけると思うぞ。

ストーリーは別にどうってことないし、ビヨンセが演じた主役・ディーナのモデルはダイアナ・ロスらしいとかのゴシップとか、そんなことどうでもいい気がする。
テレビやメディアを利用してヒットチャートをひた走る路線、虐げられた人たちのドロドロとした思いを表現してときどきマグマの噴火のような単発ヒットを生み出すドロ臭い路線、そのもとでのアーティストの葛藤…などなど、特定のアーティストということではなく60年代から80年代にかけてのアメリカのブラック・ミュージックを象徴した年表みたいなもんじゃないかな。

だからこそ楽しい。

具体的な「誰か」なら、そこにはかならず終わりがある。
この作品が描いた時代からさらに20年もたっているんだから。
抽象的な人物で描くからこそ、そこに夢をたくすことができる、「楽しい」映画になってるんだと思う。

つづき »

周防正行監督最新作『それでもボクはやってない』公式サイト

2日おいて、またしても「大事な映画」。
爽快感とか、感動とかいった感情よりも、人間の理性によびかけるタイプの映画だ。

とにかくリアル。
同じ周防監督の「Shall We ダンス?」や、「シコふんじゃった」などを先駆けとして、最近元気な日本映画に共通しているのは、「ひたむきさ」だと思う。
その世界にずっぽりはまって俳優たちなんかもまきこんじゃって、生身で表現する感じ。
これはもうリアルの前提として必要な姿勢だと思う。
先日紹介した「フラガール」もそう、「ウォーター・ボーイズ」もそう、ラストの決定的なところにむかって、俳優が役と一体になって練習し、挫折し、それでも精一杯とりくむ過程までもが映画の一部、みたいな。
ハリウッドだったら「ドル箱」俳優の「顔が見えないところはスタントの仕事でしょ?」の一言で終わっちゃいそうな…。

今作においても、少なくとも周防監督自身は相当数の裁判を傍聴し、本を読み、関係者の話を聞いてつくりあげたんだろうなぁ…というその没入感やリアリズム、そういったものが自然にかもし出す恐怖や屈辱、笑いや希望にあふれている。
それをあえて「演出してやろう」という感じでなくやっているところに新しさがある。

そして、この映画、痴漢冤罪事件をテーマにしてはいるけれど、やはり日本の司法制度全体を告発した社会派映画だ。

つづき »

「硫黄島からの手紙」

「父親たちの星条旗 | 硫黄島からの手紙」公式ホームページ

見終わった後のこのいやーな気分。
もう一方の「父親たちの星条旗」を見終わったときにも、いやな感じがあったが、それは罪悪感と、戦争推進のために手段を選ばない政治手法への嫌悪感という、わりと左脳的に分析可能なものだった。
しかし、本作、「硫黄島からの手紙」のいやーな気分は簡単に説明できない。
出てくる人たちの多くがけっして悪人といえるような人たちではないのだから。

むしろこの映画、大事な映画だと思う。
見ていてハリウッド映画であることを忘れてしまうような、徹底して日本人の視点=日本人が共感できるものに仕上げていること。
それは1人の日本兵のセリフ、

「米兵はみんな腰抜けだと思ってた。でも、そうじゃなかった。鬼畜米英という言葉に踊らされていた」

――このセリフの裏返しがテーマであることがよくわかる。

アメリカにとっての第二次世界大戦には「自由のため」「世界平和のため」という大義名分がある。
しかし、その美名のもとに殺してきた日本人はどんな人たちだったのか、その一人ひとりの生き方、人生に思いをはせたことがあったのか?――アメリカ国内において、この問題提起の意味は非常に大きいのではないかと思う。

つづき »

「とかげの可愛い嘘」

「とかげの可愛い嘘」公式ホームページ

実質、ことし最初の投稿ですね。
あけましておめでとうございます。

さて、ことし最初に見た映画は、「とかげの可愛い嘘」。
これまで見た「ラブストーリー」、「マラソン」でのいい人っぷりが好感触だったチョ・スンウの主演作品というのが選んだ理由の一つ。
もう一つは、↑で予告編(Trailer)を見てもらえればわかるとおり、カン・ヘジョン演じる謎めいた…というか風変わりな女性アリがもつおとぎ話的なムードと、病室の風景といった韓流ムードたっぷりだったから。

全体としてかぐや姫を思わせる、実に日本的・アジア的なおとぎ話っぷりは、アプローチとして新鮮。

(↓以下、ややネタばれあり)

つづき »

(以下、たぶん見た順)

「スタンドアップ」
スタンドアップ 特別版
「スタンドアップ」オフィシャルサイト

「ナイロビの蜂」
ナイロビの蜂
映画『ナイロビの蜂』公式サイト

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」
ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! スペシャル・エディション
映画『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』オフィシャルサイト

「力道山」
力道山 デラックス・コレクターズ・エディション
『力道山』公式サイト

「ホワイトプラネット」
ホワイト・プラネット サウンドトラック
(↑オリジナルサウンドトラックCD)
「ホワイトプラネット」オフィシャルサイト

「ハイジ」
ハイジ
「ハイジ」オフィシャルサイト

「犬神家の一族」
犬神家の一族 オリジナルサウンドトラック
(↑オリジナルサウンドトラックCD)
「犬神家の一族」オフィシャルサイト

こんなもんかな。

「フラガール」


発売元 : ハピネット・ピクチャーズ
品番 : BIBJ-7170 / 標準小売価格 : 3,990円(消費税190円ふくむ)

映画「フラガール」オフィシャルサイト

最初、完全ノーマークだったわけですよ。
「常磐ハワイアンセンター」で「フラダンス」? ちょいダサから一歩踏み外したかなりダサで、適当に笑わせて終わりでしょ?――ってな印象で。

結局、2回行きました。
DVD が発売されたら、買いそうな勢いです。

何がいいって、労働賛歌なところ。
夢や希望や誇りをもって働くということに感動できるって大事だと思う。

蒼井優さん演じた主人公・谷川紀美子のお母さん。
自分も先立った夫も炭鉱で長年働いてきて、最初は娘のフラを「裸踊り」呼ばわりして反対しているが、やがて…
「自分はずっと、働くってことは暗いところで汗水流して歯をくいしばってやるもんだと思ってたけど、明るい光を浴びて笑顔でだれかに喜んでもらえる、娘たちの未来にはそんな働き方があってもいいんじゃないか」
ってセリフ。
いいねぇ。
「明るい光を浴びて笑顔でだれかに喜んでもらえる働き方」ってのは、何もダンスだけじゃなくて、働くこと一般にあてはまっていいと思う。
便利な機械や、化学製品や、医薬品が発明されている現在なら、昔――この映画が描いている1960年代なんかよりずっとずっと、働くってことは楽なはずなんじゃないだろうか?
同じことをするんでも、軽い力で、短時間に、できるはずなんだから。
それなのに、労働時間はどんどん長くなって、過労死したり、仕事の悩みで自殺したり…ほんとに歪んでると思う。

つづき »

「父親たちの星条旗」

発売元 : ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社
品番 : DLY-12161

「父親たちの星条旗 | 硫黄島からの手紙」公式ホームページ

ちょいと前に見てました。
↑の有名なイメージから、英雄にまつりあげられた兵士たちが、戦費調達のキャンペーンにまきこまれるというストーリー。

「自分が戦場で見たこと、やったこと…それは、とても英雄と呼べるものではない」

このメッセージは強烈。
アメリカにとっての第2次世界大戦は、日独伊のファシズム国家をうちやぶるという大義あったものと評価されている。
しかし、「戦争」という枠に大義があっても、一人ひとりの兵士が見たものは残酷な人間否定、自己否定をふくんでいるという矛盾。
むしろ、一人ひとりの兵士の心のなかこそ、その矛盾の「戦場」だったのではないかと思わせる。

「戦争とは愚かなものだ」――きびしい現実を時間で癒した人たちが語る昇華されたメッセージにぜひ耳を傾けてほしい。

「出口のない海」

「出口のない海」オリジナル・サウンドトラック
(「『出口のない海』オリジナル・サウンドトラック」)
発売元 : コロムビアミュージックエンタテインメント
品番 : COCQ-84208 / 定価 : 2,520円(消費税120円ふくむ)

「出口のない海」公式ホームページ

「チルソクの夏」、「カーテンコール」と、自分のピントにぴったりだった佐々部清監督作品ということで楽しみに出かけた。

多量の爆薬を積み、人間が操縦して敵艦船に体当たりするという人間魚雷、回天。
戦争に行く意味、敵を殺す意味、自分の死の意味…それを考えつづけた学徒兵たちの葛藤が全体を覆う。
回天を敵艦船のそばまで運ぶ潜水艦と、人一人がやっと座れる回天内部が映画の主要な場面となり、精神的にも肉体的にも「出口のない」状況を描く。
生きて帰ることになっても、「(お国のために)死ねなかった」という残酷な後悔をひきずるという出口のなさ…。
靖国史観派の人たちは、戦争を反省することを自虐というが、戦争ゆえに引き起こされたこの「生きていることへの自虐」をどう説明するのか。

主人公たち個人の葛藤が問題なのではない。
戦争というシステムが彼らをそこに追いこんだというメッセージが大事だ。

激しい応戦があるわけではないし、血が出るとか、手足がふっ飛ぶとかいう視覚的・肉体的な苦痛もないので、戦争映画としては淡々としているかもしれない。
しかし、ずっしりと心にのしかかる映画だ。
翌日、妙に腹筋や太ももが筋肉痛で、きっと映画館の座席でふんばってしまっていたのだろう。

市川海老蔵さんが演じた主役の並木浩二は、甲子園にも出場した大学野球のピッチャー。
戦争が切り裂いた若者の夢として野球を選んだのは「出来すぎ」と思うかもしれない。
しかし、実際にそんな青年がいたのだ。

つづき »

マイ・ボス マイ・ヒーロー
発売元 : ジェネオン エンタテインメント
品番 : OPSD-S377

日本テレビ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」公式ホームページ

ドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」がよかったので、そのオリジナルということで見た。
ヤクザが組の跡目相続のために高校にいって勉強しなおす、という基本設定は同じ。
こちら韓国映画版の方は、より描き方が重い。
心をよせる同級生をまつわるエピソードはずっと暗く、ヤクザ同士の暴力シーンもちょい演出過剰。
学校の不正をめぐって対立する組のヤクザがのりだす、熱血親父肌の担任教師もその不正とたたかって暴力沙汰に巻き込まれる…など、さらにややこしいエピソードも。
でも、ラストの学校前の抗争シーンで、雨とスローモーションを印象的につかって、同級生から主人公にたいして心を痛める心情を表現するあたりは、日本ドラマ版の方にも継承された。

しかし、全体としては、日本ドラマ版のアレンジの仕方、力点の置き方を再評価することになった。

つづき »

« Older entries