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ジョイフルノイズ

ジョイフル♪ノイズ (2012)【監督】トッド・グラフ
【出演】クイーン・ラティファ / ドリー・パートン / キキ・パーマー / クリス・クリストファーソン / コートニー・B・ヴァンス / ジェレミー・ジョーダン / デクスター・ダーデン / ジェシー・L.マーティン

 

★★ [40点]「歌のパワー…」

映画全体として、歌(ゴスペル)のパワーのすごさがあふれてる。
英語の歌詞が追えなくても、その歌声、リズム、曲の展開…すべてに心をつかまれる。
映画館のシートに腰かけているのを不自由に感じるような。
立ち上がっていっしょにおどりたい!

…という期待は十二分に満足させてもらったのだが、問題はその歌は何のため?というところ。
登場人物たちにためらいや疑問はあっても、基本は“神を称えるため”。
「天使にラブ・ソングを」といっしょなのだが、「天使に…」は修道士の世界を描いていて、“そういう世界”と思って引いて見られるようにつくってある。

しかし今作では、普通の服を着て、普通に働いたり高校にいったりしている人たちが、「神を称える」ことにすごいエネルギーをつかう――そのことに違和感を覚えてしまった。
僕以外をふくめ、信者以外の観客が持つであろうこの違和感に対応して、若い登場人物、娘のオリビアも同じような疑問やためらいをもつ。
ところが、それに母であり歌の指導者でもあるヴァイは平手打ちで答える。
またしても違和感…。

あくまで信教の問題なので、いいと思う人も多いようだし、それもけっこう。
人種の違いをこえていっしょに打ち込む姿に教会の積極面をうかがうこともできて、正直感心もした。
しかし、僕個人的には、このぬぐえない「違和感」のためにきびしい点数をつけざるをえない。

Posted by Dai on 2012/05/20 with ぴあ映画生活
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「アーティスト」

アーティスト (2011)

【監督】ミシェル・アザナヴィシウス
【出演】ジャン・デュジャルダン / ベレニス・ベジョ / ジョン・グッドマン / ジェームズ・クロムウェル / ペネロープ・アン・ミラー / ミッシー・パイル


★★★☆ [70点]「映画を見る幸せってなんだろう」

つい先日「スターウオーズ エピソード1」の3D版を見たら、頭痛→眠気の「3D酔い」に。
映画の技術発展において行かれたような敗北感を味わい、負け惜しみながら浮かんだのが「映画の発展方向はどこか?」「映画を見る幸せってなんだろう?」という疑問だった。

この作品には「映画を見る幸せ」があふれていた。
ストーリーのよさ、無声映画というハンデのなかで際立っていた俳優の演技、字幕をあえて技術として生かす工夫…等々。
そして忘れてはいけないのは、観客の共通体験という喜びだ。
比較的劇場内が静かだったこともあって、まわりの観客のクスクス笑いや、犬の愛らしいしぐさへのため息が聞こえてくる。
劇中にも、たくさんの観客が映画館につめかけ、いっしょに笑い、涙し、興奮する姿が描かれる。

自分の体験でも、「クール・ランニング」の初完走シーンで劇場内に拍手が起こったこと、「ファインディング・ニモ」のラストカットで小さな子どもが「食った!?」と声を上げ、その声のかわいらしさに笑いが起こったことなどのエピソードは忘れられない。

そう。
いくら自宅で映画を見るための機械や映像流通のしくみが発展しても、いっしょに笑い、涙する観客をもとめて、劇場に足を運ぶ人は少なくないんじゃないだろうか。

この映画と「ヒューゴの不思議な発明」とで、ことし2012年、第84回アカデミー賞の部門賞をとりあったのは象徴的だと思う。
3Dと大スクリーンという大がかりなしかけがきっかけでもいい。
今作のようにじっくり楽しめる作品でもいい。
いかに劇場にたくさんの観客を集めるか――当たり前かもしれないけど、そのためのさまざまな工夫に映画の発展方向があるんじゃないだろうか。
その工夫のなかには、料金や劇場までのアクセス、劇場や作品のバリアフリーなどの要素も含まれることを蛇足ながらつけくわえておきたい。

将来においては、これぞという作品をもとめて気軽に観客が集まって料金を回収できるようなしくみもぜひ実現してほしいとも思う。
これも蛇足だけど。

Posted by Dai on 2012/04/24 with ぴあ映画生活
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「リアル・スティール」

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★★★★☆ [90点]「あくまで父と子のドラマなのだ」

ロボット、ボクシング、父と子のドラマ…男子が大好きなものがてんこ盛り。

そして良さげなレビューが多かったので楽しみにしていた。

それでも見るまでのイメージは、父と子とロボットの3人の映画。

しかし、見終わっての印象は、あくまで父・チャーリーと子・マックスががっつりと主役。

ロボット・ATOMはその特殊機能と同じくシャドウ--影の存在として描かれる。

場面によって、子にとっての父となり、父にとっての子となり、そして両方の鏡の中の自分となる。

ここんところが、この映画のすんごくよくできているところ。

逆にいうと、ATOMなしでは、ただのボクシングもので暑苦しい映画になるところを、現代的なデバイスを通じたコミュニケーション、クールに装っているけれど実は熱い…みたいな感じに仕上げるのにも貢献している。

父親としては、チャーリーが「正しいと思う道を進む」「息子のために戦う」ことを、気恥ずかしさを見せながらマックスに語り、行動していく勇気がカッコいい。

そしてマックスもその姿に心を打たれ、呼び方を「チャーリー」から「父さん」に変える瞬間には、涙どーっ!

しかし、もしかしたら本当の影の主役は、視覚効果。

日なたでの木陰の場面から、スポットの当たる暗い室内まで、すべてのシーンでロボットたちの存在に違和感をおぼえさせないのはすごい。

だからこそ、ATOMを軸にした父と子のドラマをじっくりと味わえるのだ。

Posted by Dai on 2012/03/20 with ぴあ映画生活
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* Diary *

脱もやもや

ふう。
この10日間ほど、娘にRSウイルスが原因と思われるぜんそくが勃発し、妻さんと交代で休みながら看病の毎日。
看病…といっても本人はいたって元気に動き回り、面倒を見るのがたいへん。
しかも、抱っこ抱っこで、目の前でゲホゲホやるもんだから、しっかりウイルスのおすそわけをいただき、戦力が低下する。
正直、もうちょいぐったりしてほしい(笑)

毎年、11月はじめぐらいの秋が深まる時期は、自分の頭ももやもやな「うつ期」に陥る。
もうすぐ年がかわる、それなのに今年もあんまり仕事がすすんでいない…。
もやもやして仕事していてもはかどらず、ますますもんやり…orz の悪循環。

娘のおかげで、仕事は大幅に足踏み。
結果、もうもやもやしてる場合じゃない!…の必死モードにシフトチェンジできた。
ま、いいか。

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* Diary *

マンションを買う・4 ~決め手は自分らしさ~

物件のしぼり込みも進み、ローンの裏づけもとれた。
いよいよ!…なんだけど、ふんぎりがつかない。

思い切って田舎に出かけてみたのが先々週の日曜日。
妻さんもぼくも、緑あふれる山は大好き。
ひょっとすると「田舎暮らしもいいよなあ」なんて選択肢も出てくるかもしれない。

家から車で2時間。
3歳の息子も1歳の娘も冷たい清流に入ってキャッキャと声と水しぶきをあげる。
体をあたためるのをかねて、温泉に入る。
地元のおじいちゃんが息子にやさしく声をかけてくれる。
帰りの車窓には「一戸建て新築 1,680万円」なんて看板も目に入る。
あー、充実したひと時。

「でも『たまに』でいいや。」

休日には充実した日々が送れるかもしれないけど、平日を中心にした通勤時間に多くの時間を奪われ、子どもたち会いたさに慌てて帰れば視野の狭い生活になる。
都会特有の知的刺激が僕自身には必要。
いま住んでいる近所でしぼり込んだ物件なら、帰ってから子どもとワンラウンド遊ぶ時間が毎日ある。
子どもが小学生ぐらいになったら、学校帰りに職場に電車で来させいっしょに映画を観て帰る…なんて夢もみる。

そして、いま住んでいる地域が好き。
交通の便のよさと、緑と、幅広い年代との近所づきあいと、夏祭りをはじめとする文化的な歴史と…生まれてからこれまで12回引越ししたけれど、もっとも自分の感性にあった街に住んでいるという実感がある。
もちろん子どもが生まれて地域とのつながりが深くなったという面もあるだろうけど。

最後の最後は、妻がマンションを推し、ぼくはどちらかというと戸建てに未練があり…。
でも、ぼくはずっと家は「舞台」にすぎないと思ってきた。
つねに小さいライブハウスよりも武道館のライブの方がいい、というわけじゃない。
結局はその舞台で「何を」「どのように」やるかが大事じゃないか…と考えていたことを思い出し、われに返る。
相対的に高い戸建てよりもマンションに、「舞台」の予算を節約して中身を充実させよう、と。

きょう、無事に一通りの契約が済み、新居のカギがいまこの手に。
新しい「舞台」で何がはじまるか、何をはじめるかのワクワクと、引越しのわずらわしさとをかみしめている。

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* Diary *

マンションを買う・3 ~保険でもやもや~

住宅ローンを組むと、セットで実質生命保険に入ることになるらしい。
団体信用生命保険(だんしん…Dancin’ みたいで笑ってしまうが)とかいうので、返済中に死んだり、普通には収入を得るのに困難な障害を負ったりしたときに、返済を肩代わりしてくれるというわけだ。

くわえて出てきた「おまけ」として、がん・脳卒中・心筋梗塞の「三大疾病」にかかっただけで(死ななくてもってことだけど)返済が免除される「三大疾病特約」というのもあるらしい。
もちろん余分に保険料がかかるわけだけど。

じつは、親父が比較的若いときに胃がんをやってて、漠たる不安がある。
よっしゃ! かけるか! と思っていた。

が、いろいろいきさつがあって、ローンを組む金融担当のこれまた若い人がズバッとアドバイス。
「脳卒中・心筋梗塞だとだいたい死んじゃうことが多いですからね、かけない人の方が多いですよ」。
ガーン!
「それに生命保険と違うのは、あくまで残金の精算ですから。
ローンの返済始まってすぐにかかれば○○千万円の保険金が下りますけど、それからローンの終わりに行くにしたがって受けとれる保険金が少なくなっていくことになります」
ガーン、ガーン!

そ、それでもローンの返済がはじまってすぐにがんになれば丸々○○千万円浮いてラッキーでは…。

…ってちょっと待て!
「がんになってラッキー」なんて話があるのか、おい自分。
働くこと=収入を得るのが困難になるからこういう制度があるんだ。
一度かかればローンの返済の不安はなくなるかもしれないけど、ガンの転移・再発という文字通り命にかかわる不安をかかえて生きていくことになる。

この保険にまつわるもやもや感は何かといえば、不確定なファクターに自分の一生の大事をかけるという地に足の着いてない感だ。
もちろん「がんになれば、つらい。つらいからこそ、少しでもプラスの要素である保険金がほしい」とかいう考え方もあるだろう。
だけど、やっぱり自分の性にはあわない。
すでに生命保険にも入っているけれど、この際だから自分の生き方をとぎすませることにしよう。
「だんしん」はしょうがないにしても三大疾病特約には、さようなら。
入っている生命保険も思い切って整理することにしよう。
がんの不安があるなら健康な生活を意識して、いつまでも元気にローンを返しつづけることにしよう(ちょっと悲愴)。

自分自身を資本主義ギャンブルのかたにするのは、やーめた。

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マンションを買う・2 ~買うのは「建物」ではなくて…~

さあ、家・マンションの物件を探そう!…と不動産関係のWebページを見たり、不動産屋を訪ねたりする。

こちらのイメージは固かった。
「いま住んでるエリア」、「行政区はまたがない」。

だけど、どの不動産屋も多かれ少なかれその要望を否定しようとする。
「ご希望の間取りの物件がありまして」とか「ローンが組める価格帯で」とか…。
いわれるままに、ある程度は付き合って何軒かの物件に同行する。
そして確信する。
「この家に住んだときの生活全体のイメージがわかない」と。

妻さんと共通認識だったのは幸いだけど、「家を買う」ってのは俗な表現で、大事なのは「家を中心とした生活全体を買う」に等しいってこと。
行政区をまたいだ場合、保育園までの距離・時間はどれくらいになるのか、そもそも入れるのか。
休日に子どもたちはどこで遊ぶのか。
買い物はどこでするのか。
道は暗くないか。
周囲の年齢構成は?
行政との窓口になってくれる親切な議員はいるのか…。

まあ、聞けば不動産屋もある程度調べて答えてくれる。
「どこそこにスーパーがあります」とかいわれても、そのスーパーの品揃えはどの程度のものなのか、などなど新しい疑問がわいてくる。

自分の感覚としては、隣の駅だろうと1時間分向こうの駅だろうと、知らない土地という点において違いはない。
15分余計に電車に乗れば◇◇万円相場が安くなるな…と思っても、いざ保育園に入れなくて育休をとったりすればその収入減で◇◇万円は一瞬にして消えてしまうかもしれない。

悪いけれど、不動産屋にとってはその「商品」が売れるかどうかが問題なんであって、買った人がその「商品」をどう使うのかまで十分に心砕いてくれるわけじゃないのだろう。
不動産屋にかぎったことではないけれど。

たまたま今回出会った不動産屋のお兄さんは、「商品」の知識の豊富さと、「商品」それぞれに遠慮のない評価をくわえる正直さにおいて信頼のおける人だ。
こちらの狭いエリアでの絞りこみと、お兄さんの適切な(と現時点で思われる)アドバイスで、比較的スムーズに「これ」という物件に目星をつけることができた。

(つづく)

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* Diary *

マンションを買う・1 ~「子どものために」が出発点~

…ことにした、わが家も。

妻さんとはそもそも買うのか、一生賃貸で暮らすのか…から議論をはじめた。
自分としては、いまの2Kほどの部屋は子ども2人の4人で暮らすには手狭だよなあ…と思いつつ、いよいよとなると数十年に渡るローンに抵抗を感じた。
(ローンではなく一括払い!…ってのは無理な話で)

数十年に渡って、一定額の支払いと住む場所を決める契約…はっきりいって、結婚の約束よりはるかに現実的かつ重い。
いや、本来結婚には「込み」なのかと、いまごろになって気づく。
5月あたり特にそこんとこ悩んでて…。

でも、出発点の「子ども2人の4人で暮らす」の、特に子どものために力を合わせるってのは、妻に対して多少のことがあっても踏んばれる足がかりになる、とかみしめた。
先に何があるかはわからないけど、基本的にはその方向を歩むとして…いや歩む決意で、それなりの広さのところに引っ越すとしたら、月々の家賃より買った上での月々の支払いの方が低くて済みそうだ。(それなりの長期返済の前提だけど)
って感じで購入の方向へ…。

(つづく)

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Trail Run

ちょいテスト

いやー、走った走った…いや、だいぶ歩いた orz
真夏の白昼はすごいな。
ちょっと走るだけで心拍数急上昇だし、かといって歩くと空気の流れが止まって汗がまとわりつくし。
そんなことをくり返しているうち、足もつりぎみ。
中高生の部活じゃないんだから、ほどほどにしよっと。

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「奇跡」

奇跡【通常版】 [DVD]

映画『奇跡』公式サイト

かなり楽しみにしてて、3度目の正直でやっと見れた。

親の離婚で鹿児島と福岡に離れて暮らす兄弟。
「九州新幹線の上りと下りそれぞれの1番列車がすれ違うときに願い事をするとかなう」
と聞いた二人がもう一度家族4人で暮らす夢をかなえるため、それぞれの友だちを連れ立ってその瞬間を迎えようとする…というストーリー。

予告で見た子どもたちの必死の顔が実によかった。
その予想通りの兄弟役の「まえだまえだ」の二人をはじめ、子役たちのエネルギーが輝く映画だった。
是枝裕和監督の子どもたちへの信頼が輝いていた、といってもいいかもしれない。
「演技がうまい」というよりまるで演技をしていないような、きっとそのセリフや表情が出てこざるをえない情況を設定して、ふだんコミュニケーションするのとまったく同じ方法で、脳みそを動かし言葉や表情が出てくるようにしたのだろう。
子役たちにはほめ言葉にならないかもしれないけれど。
パンフレットには、台本はなくその場で撮影すべき情況と大まかなやりとりを子どもたちに口頭で伝えた、と書いてある。

そして、子どもたちへの信頼は単に映画の撮影現場だけではなく、是枝監督の子ども観・人間観にもあらわれているように思う。