邦画

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周防正行監督最新作『それでもボクはやってない』公式サイト

2日おいて、またしても「大事な映画」。
爽快感とか、感動とかいった感情よりも、人間の理性によびかけるタイプの映画だ。

とにかくリアル。
同じ周防監督の「Shall We ダンス?」や、「シコふんじゃった」などを先駆けとして、最近元気な日本映画に共通しているのは、「ひたむきさ」だと思う。
その世界にずっぽりはまって俳優たちなんかもまきこんじゃって、生身で表現する感じ。
これはもうリアルの前提として必要な姿勢だと思う。
先日紹介した「フラガール」もそう、「ウォーター・ボーイズ」もそう、ラストの決定的なところにむかって、俳優が役と一体になって練習し、挫折し、それでも精一杯とりくむ過程までもが映画の一部、みたいな。
ハリウッドだったら「ドル箱」俳優の「顔が見えないところはスタントの仕事でしょ?」の一言で終わっちゃいそうな…。

今作においても、少なくとも周防監督自身は相当数の裁判を傍聴し、本を読み、関係者の話を聞いてつくりあげたんだろうなぁ…というその没入感やリアリズム、そういったものが自然にかもし出す恐怖や屈辱、笑いや希望にあふれている。
それをあえて「演出してやろう」という感じでなくやっているところに新しさがある。

そして、この映画、痴漢冤罪事件をテーマにしてはいるけれど、やはり日本の司法制度全体を告発した社会派映画だ。

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「出口のない海」

「出口のない海」オリジナル・サウンドトラック
(「『出口のない海』オリジナル・サウンドトラック」)
発売元 : コロムビアミュージックエンタテインメント
品番 : COCQ-84208 / 定価 : 2,520円(消費税120円ふくむ)

「出口のない海」公式ホームページ

「チルソクの夏」、「カーテンコール」と、自分のピントにぴったりだった佐々部清監督作品ということで楽しみに出かけた。

多量の爆薬を積み、人間が操縦して敵艦船に体当たりするという人間魚雷、回天。
戦争に行く意味、敵を殺す意味、自分の死の意味…それを考えつづけた学徒兵たちの葛藤が全体を覆う。
回天を敵艦船のそばまで運ぶ潜水艦と、人一人がやっと座れる回天内部が映画の主要な場面となり、精神的にも肉体的にも「出口のない」状況を描く。
生きて帰ることになっても、「(お国のために)死ねなかった」という残酷な後悔をひきずるという出口のなさ…。
靖国史観派の人たちは、戦争を反省することを自虐というが、戦争ゆえに引き起こされたこの「生きていることへの自虐」をどう説明するのか。

主人公たち個人の葛藤が問題なのではない。
戦争というシステムが彼らをそこに追いこんだというメッセージが大事だ。

激しい応戦があるわけではないし、血が出るとか、手足がふっ飛ぶとかいう視覚的・肉体的な苦痛もないので、戦争映画としては淡々としているかもしれない。
しかし、ずっしりと心にのしかかる映画だ。
翌日、妙に腹筋や太ももが筋肉痛で、きっと映画館の座席でふんばってしまっていたのだろう。

市川海老蔵さんが演じた主役の並木浩二は、甲子園にも出場した大学野球のピッチャー。
戦争が切り裂いた若者の夢として野球を選んだのは「出来すぎ」と思うかもしれない。
しかし、実際にそんな青年がいたのだ。

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博士の愛した数式

映画「博士の愛した数式」公式サイト

試写会行きました。
この映画をみて思い出したこと2つ。

1つは、小学生だか中学生だかのときに、「最高に尖った鉛筆削り」に夢中になったこと。
薄い刃のカッターで削ったり、しまいには鉛筆を斜めにして紙をやすり代わりに芯の部分を磨いたり。
そうしてできあがった鉛筆が描く、ものすごく細い線にほれぼれとしたものだ。
しかしある日気づいた。
つきつめていくと円すいの頂点はあくまで数学的な点、つまり「幅がない」のが真理である。
つまり「完全に尖った鉛筆」は線の幅がない=書けない鉛筆ということになる――この結論にたっしたときのなんとも不思議なすがすがしい気持ちを忘れることはできない。

もう1つは、楽譜の不思議さ。
人類が、音楽という聴覚によるある種の刺激に感動をおぼえるというのもすごいことだと思う。
とくに詩ののった歌ではなく、楽器による演奏に対しては、とくにそうだ。
しかも、人類はそれを視覚的な記号である楽譜に記録するというやり方を生み出した。これまたすごい。
さらにさらに、楽譜を視覚的に読むことで、聴覚的な感動を頭の中に再現できるという人間の理性の力はものすごいことで、こればっかりはほかの動物にはけっしてマネのできない人間らしい能力だと思う。

さて、この映画を見て感じたのは、数式に美しさを感じる人間の理性の力のすごさ。
一方で、人間はつねに不完全なものであること――間違いをおかしてはずかしい思いをすること、人を好きになる気持ちがむくわれないことのもどかしさ…。
その両方が1つに統一しているのが人間だという人間賛歌がこの映画の主題だと思う。
おいおいと泣けるわけではないが、わきあがる不思議な感動…この映画に感動することができる自分という存在そのものにも感動してほしい。

サマータイムマシン・ブルース
発売元 : ポニーキャニオン
品番 : PCBE-52009 / 定価 : 3,990円(消費税190円ふくむ)

「サマータイムマシン・ブルース」公式ホームページ

ひさびさに「いい感じ」の日本映画。
「SFなんて読んだことないSF研究会」の部室に突然あらわれたタイムマシン。
ちょいとエアコンのリモコンをとりに昨日へいってみるか――っていう軽さがいい。
出演の、瑛太さん、上野樹里さんなんかの、日常的なハイテンションぶりが実に絶妙だし。
タイムマシンってのも永遠の夢だけど、そもそも昨日やきょうって短い日常がドラマになるのが青春。
このドタバタ感が最高!!

高校・大学時代、ぼんやり充実とした日々を、心のどこかでは終わることのないものと信じていた、たしかに。
ある意味、それは、きょうから昨日へとえんえんとタイムマシンに乗りつづけていたような感覚だったといえなくもない。

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「パッチギ!」

パッチギ ! スタンダード・エディション
発売元 : ハピネット・ピクチャーズ / 定価3,990円(消費税190円ふくむ)

「パッチギ!」公式ホームページ

以前に「チルソクの夏」を紹介したが、いわんとすることはとても似ている。
日本、韓国、北朝鮮…地理的に間にある海や川にたとえて、それぞれの国のあいだにあるあつれき、障害の不条理さを描く。

本作は、日本と朝鮮半島の間にあるあつれきを映像から感じるエネルギーとして描いているので、よくも悪くもインパクトがある。
その描写については、そこまで暴力的に描く必要があるか、という議論は十分ありえるとして、テレビでみる井筒監督そのまんまの「怒れ!若者!!」というメッセージなのだろう。

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「隠し剣 鬼の爪」

隠し剣 鬼の爪 通常版
発売元 : 松竹ホームビデオ
品番 : DA-0619 / 定価3,990円(消費税190円ふくむ)

「たそがれ清兵衛」をアカデミー賞にノミネートさせた山田洋次監督の時代劇第2弾。

笑いあり、涙あり、息つまる真剣勝負あり、そしてラストシーンでほろっと感動させる映画の王道中の王道のつくり。
平侍のつましい暮らしと、かつての剣の仲間を斬るという役回りをもった片桐宗蔵を永瀬正敏さんが堂々と演じ、彼に女中奉公する農家の娘、きえを演じた松たか子さんも実にりりしく美しかった。

しかし、パンフレットを読んだりシーンを思い返したりするなかで、ガーンと深い感動をもよおさせるという、実に不思議な映画だ。
それは、時代劇という意味での「時代」と、現代につながる歴史という意味での「時代」と両面において、じつにていねいにつくられた映画だということなのではないかと思う。

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「スウィングガールズ」

スウィングガールズ スタンダード・エディション
発売元 : 東宝
品番 : TDV-15162D / 定価 3,990円(消費税190円ふくむ)
2005年3月25日発売!!

「SWING GIRLS」公式ホームページ

「女子高校生がジャズ!?」というのがそれだけでコピーになるのかどうか…。
というのも、ぼくの高校時代一時期の思い出にはジャズが流れているから。

進学校では高校3年の夏休みは、夏「休み」ではない。
学校に行くかわりに予備校に行くだけ。
そして、学校以上にギスギスした雰囲気のなかで、ぎっしりの「予備校イス」で隣のヤツとひじとひじをぶつけ、受験戦争の火花を散らす――。
…というのは、じつはぼくにとっては空想の世界で。
ぼくはといえば、ほぼ毎日学校のプールに通い、プールの閉まる午後3時からは学校近くの市立図書館の冷房の効いたソファーで惰眠をむさぼり、起きたらちょっと勉強し、帰りに図書館のレコードを借りて帰る――というのが日課だった。
図書館のレコード――ちょうどその時期はレコードから CD への変わり目だったが――は、容赦なくいろんな人が借りるので、当時のヒット曲のものは、傷がひどくてとても聞けるものではなかった。
結果として、いちばんレコードがきれいだったジャンルがジャズだった。

高校生とジャズの出会いなど、所詮そんなものかもしれない。
しかしいざ出会ってしまうと、時代のヒット曲以上につよいインパクトで、高校生を夢中にさせ、とりこにするエネルギー、魔力をもっているのもジャズなのだ。

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「SURVIVE STYLE 5+」

SURVIVE STYLE 5+ プレミアム・エディション
発売元 : ジェネオン・エンタテインメント
品番 : GNBD-1055 / 定価4,935円(消費税235円ふくむ)

「SURVIVE STYLE 5+」公式ホームページ

はっきりいって、ぼくが紹介している映画のなかでは異色であることまちがいなし。
いわく「CM界の奇才」による「日本映画じゃないニホンエイガ」みたいな。
(↑これって、作品の中身をまったく紹介してないコピーだし)
しかし、個人的にはとても「楽しい気分」になれる映画なのだ。

じつは、この作品の関口現監督って、ぼくの高校ンときの映画部の先輩。マジで。

現先輩(あえてこう呼んじゃうけど)は、ちっちゃい体にして、映像にかんするエネルギーはただならぬものがあった。
文化祭前なんか、3連チャン徹夜。
編集しながら足りない部分を撮影するというバタバタで、写真屋さんの現像があがるそばから、自転車で20分ほどかけてとりにいく。
現先輩は「自転車乗りながら寝ちゃってさ、家族連れンなかにつっこんじゃったよ」なんてキテる笑い話をもって帰ってくる。
徹夜明けのハイ・テンション・ワールドのなかにあって、死ぬほど笑いころげた。

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「草の乱」

「やむにやまれぬ思いで立ち上がる男たち」――ロードショー翌日の9月5日に「草の乱」を見たら、そのさらに翌日9月6日の夜のニュースをにぎわせたのは、プロ野球の選手会が球団合併の凍結などをもとめてストをおこなうことを決定した、というものだった。

「草の乱」は、1884年、増税と生糸価格の暴落で劇的な生活悪化においやられた養蚕農民たちが「圧制を変じて良政に改め、自由の世界として人民を安楽ならしむべし」(田中千弥「秩父暴動雑録」より)と立ち上がった「秩父事件」を描く。
当時においても非合法だった、いわば暴力革命という手段をとったことで、平等と正義の理想に燃えてたたかった指導者たちのほとんどが死刑となり、当時の政府が波及をおそれて「暴動」と評価したことで、秩父事件は暗い一事件として歴史上あつかわれてきた。

しかし、描かれている当時の状況は、農民の困窮につけこんで暴利をむさぼる高利貸しが裁判所を買収し、役所も「個人の貸し借りは相手にできん」とつっぱね、国会はまだ開設されず、「民の声を国会に」と期待された板垣退助の自由党も解党寸前…。
彼らの蜂起は、まさにやむにやまれぬ最後の手段。
そのことを決意しなければならない農民たちの苦悩も描かれる。

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「機関車先生」

機関車先生 スペシャル・エディション
発売元: 日本ヘラルド映画 / 販売元: ハピネット
品番: BBBJ-5551 / 価格: 3,990円(消費税190円ふくむ)

「機関車先生」公式ホームページ

なぜ見たかというと、予告編の子どもの顔がよかったから。
それは、どう見ても主役の先生と子どもの別れの場面だろう。
子どもたちが顔中に汚いほどの涙のあとを残して、なにやら叫び、一点にむかって手をふる。
もうそれだけで子どもたちがのびのびと演技をし、またスタッフやら俳優たちやらとただならぬ信頼関係をつくった映画だという推察ができた。
「この結末が待っているなら見ようじゃないの」と思わずにはいられない、いい顔だった。

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