行列についての経済学(なんちゃって)

某、行列で有名になったドーナツ屋のことを Tweet した。
しかし、ぼくは基本的に行列が嫌い…というより、行列に甘んじた商売が嫌い。

まず第一に客は行列することで、その商品やサービスを過大評価しがち。

  • 冬の寒い状況に長時間さらされた後に食べる温かいもの――ラーメンやドーナツは、普通に考えてうまいに決まっている。
  • 行列ができる店=(イコール)流行の店、有名な店の商品は、それ自体話題にできるといった付加価値をもつ。
  • 寒い or 暑いなかを X 時間も並んだという潜在的な損失(コスト)意識が実際の商品の価格にくわわる。その結果、
    • 一般に「高いもの」すなわち「いい商品」ととらえる心理
    • ある商品を買った後でよく似た商品が安く売られているのを見つけたときの「最先端のタイミングで買った」「自分は高くて上等な方を買った」などと合理化する心理
    • 1,800 円も払ってみた映画を「つまらなかった」と評するのをためらう心理

    …などなどと同様のベクトルがはたらく。

という具合に冷静な判断力が失われるので、客としてなるべく行列しないことを心がけているのだ。

もう一方、経営者の立場にたったときの行列の評価だ。

  • 行列ができること自体が話題になってラッキー。
  • しかも ↑ のような理由で、口コミ効果もプラスにはたらくからラッキー。
  • 行列を解消するコストを削減できてラッキー。

最後の「行列を解消するコスト」についてもう少し詳しく。
ごく単純に「行列を解消する」ためには、従業員を増やして増産する、イスを増やすとか近くに支店を出店するとかをふくめ時間あたりの収容人数を増やすといったことが考えられる。
が、人件費、設備投資等、結局コストにはね返ってくるから経営者としてはなるべく避けたい。

しかし、客の側の行列コストはどうか。
たとえば、某ドーナツ屋を見てきた感じとして、多かったときは50人程度が軽く1時間以上待っていたと思う。
その某ドーナツ屋は1日16時間も開店しているとのことだが、土日と平日の違いなどを考慮して1日平均5時間こうした行列ができていると見積もろう。
控えめに東京都の最低賃金791円をこれにあてはめると、1日あたり平均で19万7,750円、1カ月(30日)では593万2,500円!!

某ドーナツ屋が「待ち時間○○分」のプラカードや行列整理の警備員を配置したりしているのを「安上がりな対応だなあ」と思って見ていた。
そのすぐそばで、カフェがつぶれて空き店舗になっていたこともあった。
客に行列させるのは申しわけない。店の側も身を切って対応しよう――ってのが客商売の心意気じゃないの?
まともに対応せず、むしろ「ラッキー」と、ほくそ笑んでいるかも…と考えてしまうぼくは、ぜったいに並ぶ気が起きないのだ。


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