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「Mr. インクレディブル」

Mr.インクレディブル [DVD]

「Mr. インクレディブル」公式ホームページ

またいっちゃいました。
「トイ・ストーリー」、「ファインディング・ニモ」を世に出した pixar の最新作。

その破壊力と影響力の大きさゆえに、活動禁止となった元スーパーヒーローたちが、家族とともにふたたび立ち上がる…という話。
最初の舞台は離れ小島、クライマックスで大都会に戻ってきて…というあたりもふくめ、「スパイキッズ」とダブってしまう。
しかし、結論は「ま逆」。

「スパイキッズ」は、その新しさ――ガジェットの新しさ、現代っ子的子ども像――を前面に押し出しながらも、「最後は家族のきずなでしょ」と、ファミリー作品に仕上げている。

しかし近作は、「古きよき時代」の家族像を描き、現代の家族像・人間像をシニカルにうかびあがらせる。
主人公のMr. インクレディブルは、スーパーヒーローを辞めた後、保険会社に勤め、パソコンにむかい、いかに保険料の支払額を小さくするかに無心しなければならないことと葛藤する。
そのみみっちさ、こすズルさとを、バカ力を武器に正義をつらぬいた「現役」時代と対比して描く。
ところかまわず走り回る男の子、自信のなさに内気で防衛的になる「暗い」思春期の少女、なんでもフレキシブルにこなす主婦…など、現代社会のムードのなかで時代遅れとされつつある人間像に光をあて「ありのままでいいじゃないか」、「古きよき時代を取り戻せ」というのが、近作のベースにあるテーマだ。
エンディングのスタッフ・ロールのデザインベースが、ロトチェンコなどのロシアン・アバンギャルド風なのも、その重厚長大をベースに経済成長をとげた時代への懐古主義的な香りをつよく印象づける。

ストーリー展開やユーモアもおもしろいし、爽快な映像とあいまって、「うんうん」と見てしまうが、「ピノキオ」や「ダンボ」、「シンデレラ」といったディズニー・クラシックの妙に説教くさいにおいがして、眉にツバして見たほうがいい。

「ファインディング・ニモ」のときに、「『どうしても CG じゃなくちゃダメ ?』とつっこみを入れたくなる感」について書いたが、今作ほどその印象のつよい作品はない。
pixar の長編アニメとしては、初の「人間ドラマ」だし。
逆にいうと、一部のシーンを除いてCGアニメが「人間ドラマ」として通用するレベルまできたことはすごいと思うし、上述のテーマ性からいって人物像を抽象化する作用のつよいアニメ作品にしたというのは、あながち間違いとはいえないかもしれないが。

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