11月の「ベスト前むき一言」

パンパカパーンっ!!
ただいまより、第 1 回「今月のベスト前むき一言」発表会を開催いたします。

10月の公開開始以来、数多くの「きょうの前むき一言」を紹介してまいりました。
この Web サイトの運営原則にてらして、ただいくつもの「前むき一言」を羅列的に紹介するにとどまらず、とくに励ましとなる「前むき一言」に賛辞を送りたいと考え、選考委員会が厳選する「今月のベスト前むき一言」を毎月月末に発表する運びとなりました。

それではぁ、さっそく発表ぅにうつりますっ!!…

まずは、準「今月のベスト前むき一言」の発表です。

ドゥルルルルル(ドラム・ロール)…ジャーン!!

ジョン・ラスキン
「苦労にたいする最高の報酬は、その苦労で手に入れたものではなく、その苦労を通じてその人が成長した内容である」

パチパチパチパチ(うねるような拍手)

イギリスの美術批評家であり、社会批判も忘れなかったというジョン・ラスキンさんのこの言葉は、とかく成果や対価だけでものごとを計ろうとする世の中への批判であると同時に、人間の成長にかかわる教育のありようの提起として、現在にもひきつづく大切な内容をもっているのではないでしょうか。
わがホームページの「なんじゃこりゃ? ワールドカップ・バレー」で指摘した勝利第一主義への警鐘とも共感するところがあります。

つづいて、「特別賞」の発表です。
(うっとおしいので、演出は以下、略)

孔子
「聞くだけでは忘れる。見れば記憶には残る。実際にやれば理解できる」

これは、ことしのベスト・セラー、養老 孟司さんの「バカの壁」と深くつうじるものがあるというトピック性に注目した選考結果です。

バカの壁

著者 : 養老孟司
新潮新書 / 定価 680 円(税別)

この著書で養老さんは、物事を簡単にわかったつもりなることのつまらなさを指摘しています。
よくある「あー、わかったわかった」「知ってる知ってる」と、それ以上知ろうとしたり、深めたり、考えたりすることをやめてしまう思考停止状態を「壁」と表現していますが、孔子さんの「実際にやってみないと、本当のところは理解できない」という指摘は、非常に深みのある言葉ではないでしょうか。
同書で養老さんは、「日本人というのは、知識を雑学といっしょにしているのではないか」と指摘していますが、ベストセラーの第 3 位に「トリビアの泉」が入っているというのがなんとも皮肉です。
同時に、「バカの壁」が「トリビアの泉」を上まわっていることに何かしらの光明を見出さずにはいられません。

それでは、いよいよ「今月のベスト前むき一言」の発表です。

ジョージ・バーナード・ショー
「友人にできる本当の手助けは相手の立派な姿をうつす鏡となって、元気な姿をみせ、勇気をあたえつづけることだけだ」

オードリー・ヘップバーン主演の映画「マイ・フェア・レディー」の原作者としても知られる劇作家のジョージ・バーナード・ショーさんの言葉です。
この言葉は、自分があれやこれやのおまぬけな素行不良をくりかえす弟とむきあってきた中で感じたこととぴったりでした。

「あれはダメ、これはよくない」と話しても、弟自身の実感にならなければ、本当に心には響かない。
同時に、弟にあれこれいうくせに、自分はそんなに立派な兄か…そう考えていくなかで自分自身が生きる姿勢で励ませるようにがんばろうという決意が、すぐにはどうにもできないというあきらめの気持ちとない交ぜになって心にうかびました。

「あー、偉い人もおんなじこと考えてんだ」と、まさに私自身があらためてはげまされたことが受賞のポイントです。
また、「前むき一言」ではあるけれど即効性がない――そこにある種の「重さ」を感じさせてくれたところも「ベスト」の要素です。

それでは、今月はこの辺で。
次回をお楽しみに!!


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください