佐々部清

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映画『夕凪の街 桜の国』OFFICIAL SITE

この映画を見てはっきりと自覚した。
以前にも少し書いたことだが、ぼくが悲劇の映画やドラマを見て泣けるかどうかは、その悲劇をけっしてくりかえしてはいけない、という作り手の思いの強さに比例するのではないかと思う。
無論、「作り手の思い」などというのは数値化できないので、そのあたりの厳密さを追及されると困るのだが。
少なくとも、悲劇をくりかえさないことに真剣になれば、その悲劇がなぜ起こったのかを真剣に探求するはずだ。

いうまでもなく、この映画における悲劇の元凶は、ヒロシマに投下された原爆だ。
同名の原作漫画同様、けっして声高に反戦・反核をさけぶ映画ではない。
しかし、声高でないことと、真剣でないこととはまったく別物なのだ。
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「出口のない海」公式ホームページ

「チルソクの夏」、「カーテンコール」と、自分のピントにぴったりだった佐々部清監督作品ということで楽しみに出かけた。

多量の爆薬を積み、人間が操縦して敵艦船に体当たりするという人間魚雷、回天。
戦争に行く意味、敵を殺す意味、自分の死の意味…それを考えつづけた学徒兵たちの葛藤が全体を覆う。
回天を敵艦船のそばまで運ぶ潜水艦と、人一人がやっと座れる回天内部が映画の主要な場面となり、精神的にも肉体的にも「出口のない」状況を描く。
生きて帰ることになっても、「(お国のために)死ねなかった」という残酷な後悔をひきずるという出口のなさ…。
靖国史観派の人たちは、戦争を反省することを自虐というが、戦争ゆえに引き起こされたこの「生きていることへの自虐」をどう説明するのか。

主人公たち個人の葛藤が問題なのではない。
戦争というシステムが彼らをそこに追いこんだというメッセージが大事だ。

激しい応戦があるわけではないし、血が出るとか、手足がふっ飛ぶとかいう視覚的・肉体的な苦痛もないので、戦争映画としては淡々としているかもしれない。
しかし、ずっしりと心にのしかかる映画だ。
翌日、妙に腹筋や太ももが筋肉痛で、きっと映画館の座席でふんばってしまっていたのだろう。

市川海老蔵さんが演じた主役の並木浩二は、甲子園にも出場した大学野球のピッチャー。
戦争が切り裂いた若者の夢として野球を選んだのは「出来すぎ」と思うかもしれない。
しかし、実際にそんな青年がいたのだ。
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チルソクの夏 特別版 [DVD]

なんかね、とっても「青春映画」でした。
主役の高校生たちが陸上部にしても、むやみやたらに走ってるシーンが多いし、いかにも初恋の胸キュンなお話だし。
けなそうと思えば「青臭い映画」ってことになるだろうけど、その若さゆえの正義感やエネルギーにケチをつけるような「枯れたオヤジ」にはなりたくない。

山口県下関の陸上部の女子高校生の友人たちが、韓国・釜山へ交流陸上競技大会に出かける。
宿舎での夜、韓国の選手の一人安大豪(アン・テイホウ)が、下関の女子高校生、郁子(いくこ)に、恋心をうちあける。
「また来年の七夕(韓国語でチルソクというそうです)会おう」、と。
そして二人の文通と恋を中心にドラマはすすんでいく…。

じつは、紹介するタイミングをはずしたと思って、棚上げしていたのだが、「七夕」を前後して、地元下関をはじめ、地方での上映がスタート。
東京では、なかなか異例のリバイバル上映がきまった。
こういう地味(失礼?)だがいい映画が、息長く上映されるのはファンとして、実にうれしい。
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