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「父と暮らせば」

最近、「夕凪の街 桜の国」を検索キーワードにこちらのブログに来てくださる方が多いのです。
こんなちっぽけなブログですら関心をもってもらえるのですから、映画のパワーを感じます。

そこで「夕凪の街 桜の国」をご覧になった方、この「父と暮らせば」もお勧めです。
「夕凪の街 桜の国」について書いたときにもキーワードにした、「生き残ってしまったという自虐」について自分が最初に考えさせられた映画といえます。

こちらはおもに登場人物が3人。
井上ひさしさんの原作どおりの戯曲調で、映画的には物足りない感じがしないでもないですが、その分、核心に迫って考えさせられる仕上がりになっていますよ。

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「夕凪の街 桜の国」

映画『夕凪の街 桜の国』OFFICIAL SITE

この映画を見てはっきりと自覚した。
以前にも少し書いたことだが、ぼくが悲劇の映画やドラマを見て泣けるかどうかは、その悲劇をけっしてくりかえしてはいけない、という作り手の思いの強さに比例するのではないかと思う。
無論、「作り手の思い」などというのは数値化できないので、そのあたりの厳密さを追及されると困るのだが。
少なくとも、悲劇をくりかえさないことに真剣になれば、その悲劇がなぜ起こったのかを真剣に探求するはずだ。

いうまでもなく、この映画における悲劇の元凶は、ヒロシマに投下された原爆だ。
同名の原作漫画同様、けっして声高に反戦・反核をさけぶ映画ではない。
しかし、声高でないことと、真剣でないこととはまったく別物なのだ。

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「日本の青空」

 「日本の青空」公式ホームページ

これまた大事な映画です。
安倍首相は、任期中の改憲を公約にその地位に着き、いま先頭に立って、改憲手続き法案…要するに憲法をかえるための準備をすすめている。
なぜ改憲が必要か――安倍首相の説明は「戦後、GHQがつくった憲法だから」というものだが、この映画がテーマにしているのは、そのGHQ はまさに日本人がつくった原文をもとにして憲法をつくったという点だ。

戦争中、治安維持法で投獄され、獄中で憲法学を学んだという鈴木安蔵さん(高橋和也さんが学究肌で情熱的というキャラクターを好演)が中心となってつくった憲法私案について GHQ が事細かに研究し、字句をふくめその成果を生かしたという資料が残っていたことから、いまの日本の憲法は、GHQ = アメリカがゼロからつくって押しつけたものではなく、その大事な部分は日本人自身がつくったんだということをあきらかにする。

憲法9条だけでなく、国民主権、基本的人権など、あらゆる面で、日本人自身が努力し、明治時代の自由民権の思想や運動もひきついでつくられたのがいまの日本の憲法だというのは大いに感動に値する。

それを、田丸麻紀さん演じる出版社の派遣社員が発掘するというエピソードにからめて現代に引き込んでくるというのも月並みながら成功している。

そもそも安倍首相をはじめとした改憲勢力が、「だれがつくったか」ということだけで改憲を突破しようとしているのは、憲法の内容にはケチがつけられないから…と、いろいろ思うところはあるけれど、とりあえず見てほしい映画です。

また、憲法のことを知りたい、知ってほしいという多くの個人や団体がスポンサーになって製作されたという点でも、特筆すべき映画です。
まだ募集しているようなので、「映画のスポンサーになれるチャンス」かも(ぼく自身も検討しています)。

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「出口のない海」

「出口のない海」公式ホームページ

「チルソクの夏」、「カーテンコール」と、自分のピントにぴったりだった佐々部清監督作品ということで楽しみに出かけた。

多量の爆薬を積み、人間が操縦して敵艦船に体当たりするという人間魚雷、回天。
戦争に行く意味、敵を殺す意味、自分の死の意味…それを考えつづけた学徒兵たちの葛藤が全体を覆う。
回天を敵艦船のそばまで運ぶ潜水艦と、人一人がやっと座れる回天内部が映画の主要な場面となり、精神的にも肉体的にも「出口のない」状況を描く。
生きて帰ることになっても、「(お国のために)死ねなかった」という残酷な後悔をひきずるという出口のなさ…。
靖国史観派の人たちは、戦争を反省することを自虐というが、戦争ゆえに引き起こされたこの「生きていることへの自虐」をどう説明するのか。

主人公たち個人の葛藤が問題なのではない。
戦争というシステムが彼らをそこに追いこんだというメッセージが大事だ。

激しい応戦があるわけではないし、血が出るとか、手足がふっ飛ぶとかいう視覚的・肉体的な苦痛もないので、戦争映画としては淡々としているかもしれない。
しかし、ずっしりと心にのしかかる映画だ。
翌日、妙に腹筋や太ももが筋肉痛で、きっと映画館の座席でふんばってしまっていたのだろう。

市川海老蔵さんが演じた主役の並木浩二は、甲子園にも出場した大学野球のピッチャー。
戦争が切り裂いた若者の夢として野球を選んだのは「出来すぎ」と思うかもしれない。
しかし、実際にそんな青年がいたのだ。

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* Diary *

憲法9条を守る決意

この場を借りて、これまでも自分の生い立ちにかかわることや、最近長崎原爆資料館に行って感じたことを書いたり、「CASSHERN」「機関車先生」「パッチギ!」などの映画評の名を借りて、反戦・平和と、その後ろ盾ともいえる憲法9条の大切さについて表明してきたつもり。

で、たまたま目にした「Keep9――9条守ろう!ブロガーズ・リンク」。

いいじゃない!!

なんでもそうなのだけれど、一人ぼっちのつぶやきのようなものと、「自分も同じ意見をもっているよ」と表明して仲間への参加表明をすることとはまったく次元が違うもの。
というわけで、さっそくの賛同表明をかねて、このメッセージを書いてみた。

あわせて、オフラインでの9条を守る大規模な運動を展開している「九条の会」にもリンク。

それにあわせて、きちんとリンクのバナーが表示できるように…など、レイアウトを若干改造しました。

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* Diary *

「愛国心」に点数つけちゃおう!

もちろん子どもにじゃないよ。
いま「愛国心」を教育の目的にしようと熱心な自民党・公明党のみなさんに。

  • アメリカの軍隊のために沖縄の貴重な自然を破壊しようとしているので減点
  • ご先祖を大切に、といいながら、いま生きているおじいちゃん、おばあちゃんを病院にかかりにくくする医療制度改悪をすすめているので減点
  • 最高法規である憲法を守るつもりがないので減点
  • そもそも「国民に愛国心が足りない」と思っている時点で日本国民を信頼していないので減点

などなど。
ぼくにいわせりゃ、自民党・公明党のみなさんの「愛国心」って相当低いと思うよ。
自民党政治を支持しないほうが愛国心のポイントが高いわけ?…高いっていうならわからないでもないけど。

これからはじまるサッカーのワールドカップで日本を応援しなきゃ愛国心が足りないんか?
サッカー見てるよりお国のために労働するほうが愛国心が高いんでないの?

以前に、日本人形とヨーロッパのドールの製作過程の違いをテレビでやってて。
日本の場合は目を最後に入れる、ヨーロッパでは目を最初に入れる。
両方とも理由は「目がいちばん大事だから」。
背後にある精神がいっしょでも、行動が同じとはかぎらない。
「目を最後に入れるのはどうしてかって?――みんなそうしてるから」って、まったく「愛」とはほど遠い事務的な理由で同じ行動をしているかもしれない。

「愛」なんて評価できるわけないじゃん。
「愛国心を押し売りする国なんて愛せない」――こう思ってる人、多いと思うよ。
この矛盾にどうこたえるんだろうね。

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「パッチギ!」

パッチギ! (特別価格版) [DVD]

「パッチギ!」公式ホームページ

以前に「チルソクの夏」を紹介したが、いわんとすることはとても似ている。
日本、韓国、北朝鮮…地理的に間にある海や川にたとえて、それぞれの国のあいだにあるあつれき、障害の不条理さを描く。

本作は、日本と朝鮮半島の間にあるあつれきを映像から感じるエネルギーとして描いているので、よくも悪くもインパクトがある。
その描写については、そこまで暴力的に描く必要があるか、という議論は十分ありえるとして、テレビでみる井筒監督そのまんまの「怒れ!若者!!」というメッセージなのだろう。

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「ボウリング・フォー・コロンバイン」

ボウリング・フォー・コロンバイン
発売元 : ジェネオン エンタテインメント
品番 : PIBF-7549 / 定価 : 4,935円(消費税235円ふくむ)

「Bowling For Columbine」公式ホームページ
「ボウリング・フォー・コロンバイン」日本版公式ホームページ

遅ればせながら、テレビ放送(の録画)で見た。
全部に共感できるわけじゃないけど、マイケル・ムーアというのはなかなか大事な存在だと思う。
銃社会に異論を唱え、イラク戦争にものをいう――一般的なアメリカ人のイメージにたいして、(当たり前だけど)そういうアメリカ人もいるんだということを確認させてくれるのだから。

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「機関車先生」

機関車先生 スペシャル・エディション [DVD]

「機関車先生」公式ホームページ

なぜ見たかというと、予告編の子どもの顔がよかったから。
それは、どう見ても主役の先生と子どもの別れの場面だろう。
子どもたちが顔中に汚いほどの涙のあとを残して、なにやら叫び、一点にむかって手をふる。
もうそれだけで子どもたちがのびのびと演技をし、またスタッフやら俳優たちやらとただならぬ信頼関係をつくった映画だという推察ができた。
「この結末が待っているなら見ようじゃないの」と思わずにはいられない、いい顔だった。

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「CASSHERN」

CASSHERN [DVD]

「CASSHERN」公式ホームページ

映画を見たのはずいぶん前だったのだけど、DVD発売のニュースが入ったので書いてみることにした。

この映画、もとになったのは70年代のアニメ「新造人間キャシャーン」だ。
リアルタイムで子どものときに見たことは見たのだが、それほど夢中になった記憶がない。
しかし、なぜか強烈に印象に残っている。