ニーナ・シモン「FREE SOUL. the classic of NINA SIMONE」

 フリー・ソウル クラシック・オブ・ニーナ・シモン

ちょっとしたきっかけで聞いてる。
「クラシックといえる人ね」ぐらいの知識で聞いた第一印象は、すごく説得力のあるボーカル。
表面的な音域やテクニックで聞かせるというより、その人なりの存在感が音楽性をしっかり支えている感じ。
ジャンルは、ジャズ、ソウル、ブルース、ラテン…活躍したであろう時代の「ブラックミュージック」の幅広さに対応して、全部、見事に自分の歌に消化しちゃう。

Wikipedia によると1933年に生まれ、2003年に亡くなっている。
1960年代の公民権運動にも積極的に参加した、とか。
1969年、ひと夏をかけて音楽と文化を通じて黒人の尊厳と政治的権利を訴えたイベント、「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル(Harlem Cultural Festival)」が開かれている。
スティービー・ワンダーや、B.B. キング、ディジー・ガレスビーなどの面々がかわるがわる登場するなか、ニーナ・シモーヌも歴史的なパフォーマンスを披露したという。
本人の公式Webページ(「The Official Home of Nina Simone」)からはそのビデオも見られる。
なるほど、歌声の説得力はそうした経歴からきたえられたものか。
↓は、「FREE SOUL … 」にも収録されている、「To Be Young , Gifted and Black(若くて才能があって黒人で)」。

公民権運動と連動するようにジャズやブルースを源流とする「ブラックミュージック」は劇的に進化・発展する。
いま聞けば普通のラブソングにも、特有の歴史と文化でつつんで、だれもが共感する同じ人間としての感情や生活の営みを表現しているという政治的・社会的なメッセージがこめられている…いや、個々のアーチストにこめている意思がないまでも、結果的にそういう意味をもっていた時代がある。
ニーナ・シモンの歌声には、「ブラックミュージック」が単なる音楽のジャンルではなく、政治的な意味をもっていた時代の文化遺産的価値があるのだ。

調べていてびっくり。
日本ではほとんど話題になっていないが、あのメアリー・J・ブライジがニーナ・シモンを演じる伝記映画、「Nina(仮題)」が現在撮影中とか(「Mary J. Blige to Play Nina Simone in Biopic」, 「Billboard.com」)。
メアリー・J・ブライジといえば、ジャズやブルースというより R&B の人。
そういう人が演じる=リスペクトするということになると思うが、それだけニーナ・シモンの与えた影響の大きさと広さを感じさせてくれるトピックだ。