「秋刀魚の味」

秋刀魚の味 [DVD]

この作品、ちゃんと見てないのだが、先日、NHK の科学バラエティー的な番組でサンマをとりあげていて、そのなかで紹介されていた。


意外にもこの映画のなかには、サンマが登場しないとのこと。
この作品で助監督だったかをされた方が「”人生とはサンマのようなほろ苦さ”という意味ではないか」とコメントされたのが印象的だった。
さすが「日本」映画の巨匠・小津安二郎。
日本人ならだれでも知っているサンマの味という日常から出発しているところがじつにいい。
ところで、海外でも有名なこの作品、タイトルはなんて訳されてるんですかね ?

ほろ苦いついでに思い出したエピソード。
この間、新宿の定食チェーン店のやけに広いテーブル席で一人、牛タン定食を食べていると、ジャズの名曲、「レフト・アローン」(一人、残されてしまった)がかかった。
そのほろ苦さで高校生のぼくをジャズの世界に引き込んだアルバム、マル・ウォルドロン「レフト・アローン」に収録されているタイトル曲だ。
あまりのはまり具合に、思わず一人口元をゆがめて笑ってしまった…そのシチュエーションもほろ苦い。

マル・ウォルドロン「レフト・アローン」

この曲、「レフト・アローン」は、あのビリー・ホリデイ(↑ジャケット写真の奥に立っている女性)とマル・ウォルドロンがいっしょにつくった曲だが、ビリー・ホリデイはこの曲を録音しないままに他界した。
文字通り一人残されたマル・ウォルドロンがピアノを、ビリー・ホリデイが歌ったであろうメロディー・ラインをジャッキー・マクリーンがサックスで奏でている。
そして、音のほうもこのエピソードに負けない(?)ほどに苦い。

ちょくちょく来日しており、日本びいきといわれたマル・ウォルドロン。
そのようすがテレビ放映されるたびに、「今度こそナマでみたい」と思っていたものだ。
しかし、昨年暮れ、亡くなられたとのこと。
日本のサンマの味は試されたのだろうか?――気にかかる。

ちなみにサンマのほろ苦さとは、いうまでもなくワタの苦さだ。
サンマのワタのほどよい苦さは、ほかの魚に比べて消化器官が短いことによるものと聞いたことがある。
いずれにしても、あえて苦いものを嗜好する…人間とは不思議なものだ。

p.s. その後、適当に Web を眺めていたら、ことしは小津安二郎の生誕100年だそうで、10月3日~19日の日程で開催される第41 回ニューヨーク映画祭で小津安二郎特集をやる。
ちなみに、「秋刀魚の味」の訳は「Autumn Afternoon」(秋の午後)となっていた。ビミョー。

小津安二郎 DVD-BOX 第一集(「秋刀魚の味」を収録)

マル・ウォルドロン「レフト・アローン」